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一流のモーグルスキーヤーを目指して

私のモーグルスキーコーチである、菅原徹さんが、こんな事を言っていました。僕達は、フリースタイラー(フリースタイルな人という意味)です。フリースタイラーらしく、いつまでも楽しく。難しいことを、簡単そうに、楽しそうに、がんばる。これが、フリースタイルに生きる人の、あり方です。

モーグルスキーというのは、あの里谷多恵や上村愛子で有名になった競技です。コブを、誰よりも早く滑り、誰よりも高いジャンプを、かっこよく決める。そんな競技です。この競技のポイントは、難しい事をいかに簡単にやるかです。つまり、急斜面で荒れたコブを、いかに簡単に降りてくるか。これが、モーグルスキーの究極の目的です。

私の憧れていたスキーヤーに、セルゲイシュプレツォフという選手がいます。誰よりも練習し、誰よりも結果を出した選手でした。

彼の言葉が、彼のあり方を創っています。
「ジャンプについては、誰よりも、観客にアピールできるように練習を重ねた。ただ、美しいだけではなく、失敗はどこにある?完璧だ!」と、言わせるよう頑張った。ただ早く滑り、高く飛ぶだけではなく、誰が見ても、なんて高さだ!高さも距離も凄い!そう言われる為に、猛練習を重ねたと言っていました。

セルゲイ

ある選手は、セルゲイのことをこう言っています。
「セルゲイは、僕達に、ジャンプがどれくらいの高さだとか、その動きがどんなに難しいものなのか分からせないくらい、いとも簡単にビックジャンプをこなす。着地はいつも完璧に近かったよ。」
この言葉は凄いと思います。

ワールドカップの選手から、偉大な選手だと賞賛されていたセルゲイ。セルゲイは、チャンピョンになって、すぐに、バイクの事故で亡くなりました。彼は伝説の人となってしまいました。彼は、私の中で、今でもチャンピオンです。そんな彼に憧れ、私は、モーグルスキーの選手として3年間を過ごしました。結果として、全国大会55位という成績を残しました。選手を始めた頃から、全国大会に出るのが目標でした。その前に、自分がどんなスキーヤーで在りたいかをよく見つめました。それが結果につながったと思います。その時に、メンタルトレーニングを学び、実践しました。その時に、役立ったものを紹介します。

スポーツ選手の意図

スポーツ選手にとって最も大切なもの。1980年代初頭、当時世界で最も優れた陸上選手だったカールルイス。彼はこう語っている。「トップ選手として成功するには、何が必要か。その70%はメンタル・トレーニングであり、身体トレーニングは30%に過ぎない」さらにその4年後、彼はこうも言っている。「多くの選手たちが身体的には私と同じように高いレベルにあった。レースの勝敗と敗者と分けたのは、選手の精神状態だった」また日本では古くから「心・技・体」という表現が使われる。「心」を鍛える成果は計り知れない。

自信とセルフイメージ

自信をもって、試合に望むことができればというのは、スポーツ選手なら誰もが願うことである。つまり、自信は、スポーツ選手の持つべき精神的能力のうちでも、もっとも重要な要素といってもよい。しかし、自信について誤った考え方をしている指導者や選手が、意外に多いのもまた事実である。つまり、自信の大きさは、それまでの実績に比例するという考え方である。確かに、過去の成績が素晴らしい選手は、自信にあふれているように見える。しかし、過去に実績がなければ自信は持てないのだろうか。答えは「ノー」である。メンタルトレーニングの面から言えば、試合に勝ったから自信がついたのではない。何らかの手だてによって、試合に望む前にあらかじめ自信をつけた。その結果として、勝利を得る可能性を少しでも高めるというのが正しい。

さて、それでは、本当の自信とはどういうものであろうか。

アメリカのスポーツ心理学者のマートンは自信について、「過去の経験に照らし合わせて、今、自分がやらなければいけない事態は、なんとかうまくやれそうだと思える感じのこと」と説明している。簡単に言えば「大丈夫、やれそうだ」というふうに考えられる心を持つこと。こう考えられる心の奥底には何が存在しているのであろうか? 実は、それがセルフイメージというものなのである。

セルフイメージというのは、自分は、これこれの人間であるというような、長い間に形成された自己像のことである。たとえばスポーツの場面では、「自分はプレッシャーに強い人間だ」とか、「私は練習ではいいんだけど、本番になるとどうもうまくいかない」などといったことがよく言われる。こうしたことは、セルフイメージのなせるわざである。スポーツに限らず、あらゆるジャンルで成功している人たちは、目的を達成するための第1ステップがある。

まず、自分自身を奮い立たせるような目標を設定し、自らの注意と、エネルギーを、それに集中させている。言い換えれば、自分が何を望んでいるのかをはっきり意識すればするほど、目標達成に必要なことが見えてくるのである。セルフイメージを改善するための、強力なメンタルトレーニングとして、「自己指示の確認書」という方法がある。この手順を紹介しよう。

実践の章 全日本選手権を目指した駄田井一孝の実例

自己指示の確認書に示すこと。

達成したい目標の期限と内容。
目標が達成された時の自分にとっての価値。
目標達成のための計画のアウトライン。

この確認書を、目標を達成したい6ヶ月前に、5枚作成し、
日常よく目にふれるところに貼っておく。
読んだりイメージしたりすることを習慣づけておく。
こうしたことを何もしない選手に比べて、
目標が達成される確立は飛躍的に高まってくる。

選手時代の一孝


選手時代の一孝


 

何度も読んで、イメージしているうちに、セルフイメージが目標に
ふさわしいようにつくり変えられ大きくなっていくのである。

全日本選手になるための自己指示の確認書(作成例)

公認大会に出場し、上体の安定感、滑らかなターン、持ち前のスピードと完成されたエアを武器に上位入賞し、2月の下旬に行なわれる全日本選手権に出場する。全日本選手権で応援しに来てくれた友達に感謝し、公認大会のように自分の持ち味を出しきり、ゴールエリアで友達に手を振る。

全日本選手権に出場し、よい成績を修めることによってチームの代表となりスポンサーがつく。自分の目標を達成したことにより、深い満足感と充実感を得て、スキーの楽しさをあらためて確認する。両親の助けや応援してくれた多くの人達に感謝し、自分の進んできた道を誇りに思う。

そのためには、以下の事項について毎日しっかりとやり遂げていくことが必要である。 

1.毎日の柔軟体操、週3日以上の筋力トレーニング及び瞬発力を養うためのダッシュ、走りこみを行なう。
2.積極的でチャレンジ精神にあふれたプレーをするために、技術練習あるいは体力トレーニングでも、目前の実行目標に集中しそれがうまくいっている様子をイメージしてからプレイにとりかかる。そうすることにより本番になった時に強い味方になってくれる集中力とイメージコントロールの力を同時に伸ばす事ができるようになる。
3.どんな辛い仕事をしても自分にプラスになるのだと思い、一流選手としての自覚を持ち毎日のトレーニングをこなす。
4.筋力トレーニングにおいてはどこの筋肉を鍛えているのか、何のために鍛えているのかをよく考えてからとりかかる。
5.心身の状態をゲームで十分に戦っていけるレベルにアップするために1日10分はイメージトレーニングによる試合を行なう。

この確認書を目にしたら声を出して読み、目標が達成されている姿をたえずイメージする。

公認大会に出場し、上体の安定感、滑らかなターン、持ち前のスピードと完成されたエアを武器に上位入賞し、2月の下旬に行なわれる全日本選手権に出場する。全日本選手権で応援しに来てくれた友達に感謝し、公認大会のように自分の持ち味を出しきり、ゴールエリアで友達に手を振る。